![]() ・乾杯用にグラスシャンパンを
・海老の女王と鮮魚のカルパッチョ ・シュリンプムースのフリット ・渡り蟹とかに味噌の濃厚なトマトソースパスタ ・伊勢海老と生うにの黄金焼き ・特選和牛のサーロインステーキ 柚子胡椒と5種の薬味を添えて ・Anniversaryドルチェの盛り合わせ ・コーヒー ※上記のメニューは8,400円のプラン例です。 ※料理は季節ごとの食材を使っておりますので、メニューが多少変わること がございます。 ![]() 携帯電話が光る。相手は彼女だった。
「今どこ?もう着いちゃった。本日の主役を待たせるなんて大物だねぇ。」 とからかう彼女を、もう少しで着くからとなだめた。 そう今日は彼女の誕生日。そしてもっと特別な日・・・。 フロントガラスの風景の先に彼女を見つけた。 きっと彼女はこれから起こる事なんて思いもよらないだろう。不安と期待が交じり合う。 「今に素敵な王子様が君の目の前に現れますよ。」 「期待してますよ。」と笑う彼女。 彼女はいつも笑顔を絶やさない。顔を見つめるとすぐに照れる彼女。からかうとむきになって怒る彼女。そんな彼女だから、僕は好きなんだ。 携帯電話を顔から少し遠ざけて、運転手に指示を出す。 僕を乗せた車がゆっくりと彼女の前に止まった。 彼女の視線がこちらに向けられる。 闇に包まれ始めた街の中で彼女の目が、一際黒く光る高級車・リムジンを捉えたようだ。 彼女は不思議そうに見ている。 ![]() 「お迎えにあがりました。」
「えっ?」 電話の声と、ガラス越しに見える彼女の口の動きがリンクする。 後部座席のドアを開き、彼女の名前を呼んだ。 「えっ、何?何であなたが・・・。」 「プレゼント。」 驚いている彼女にそっと手を添え、 「では、参りましょうか。お姫様。」 車の中へエスコートする。彼女は何が起きているのか把握できていないようで、瞬きも忘れ体が思うように動いていない。そんな彼女の様子が、微笑ましい。 車内に入るとすぐに車は走り始めた。 普段よりも目を見開いて驚く彼女を横目に、グラスにシャンパンを注いだ。 キラキラ光るシャンパンでグラスを満たし、いつもとは違う定禅寺通りがグラスごしに見えた。 そこでおめでとうと一言、彼女にグラスを手渡した。 少し落ち着いた彼女は、柔らかな表情でありがとう、とグラスを受け取り、車内にガラス同士がぶつかる音が響いた。 リムジンに揺られる二人を、夜の街並みがより一層特別な時間を演出してくれる。見慣れた街がいつもと違って見える。 楽しい時間はあっという間に過ぎ、高層ビルの前でリムジンの流れる風景が止まった。 彼女の手を握り最上階へ。そこには、薔薇がモチーフになった落ち着きのある、ロマンチックな言葉が良く似合いそうな店内だ。さっきまでリムジンで走っていた地上が小さく見える。 ![]() 一つ高い席に着くと、次々と魅力的な料理が運ばれてくる。フォークで崩すのがもったいないくらい美しく飾られた料理は、口にしてもその期待を裏切らなかった。彼女と同じ年を重ねたワインが、彼女の中に注ぎ込まれる。彼女はとても満足しているようで、安心した。
料理の終わりを告げるように、キャンドルの火に包まれた色とりどりのデザートが運ばれてきた。 ふっと彼女の方に目をやる。ほのかな灯りに浮かぶ彼女の笑顔が妖艶に見え、眩暈がした。 あるキーワードが僕の中にこみ上げる。その時は近づいている。 「こんなに自分の誕生日が特別な日なんだと感じたのは、初めて。今日はありがとう。」 「うん。・・・実はね、今日はもっと特別な日なんだ。」 僕は手に小さな箱を握り締め、そっとテーブルに置いた。
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